だまされて保証人にさせられたとしても保証人はやめられない?



民法の第96条の1項に「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と規定されています。これをこのままの意味で捉えるのであれば、債務者にだまされて保証人にさせられたとしたら、取り消すことができそうな気もします。

しかし、残念なことに多少のことでは詐欺とは認められません。

詐欺は立証しにくい

詐欺の線引きは難しいのですが、「人をだます行為が常識に照らしてみて信義に反するものであること」が必要です。

例えば、保証を頼んできた債務者が「あなたには絶対に迷惑をかけないから連帯保証人になってくれ」と言ってきたとします。その言葉を信じて保証人になったその日に、債務者は家族を連れて夜逃げをすることもあります。

ちなみに債務者とは「お金を借りる張本人」のことです。

そのことが「信義に反するものかどうか」で判断すれば、信義に反するものでしょう。しかし詐欺になるかどうかでいえば、残念ながら詐欺にはならないでしょう。

なぜならその程度の言葉はみんな誰でも言っていることで、具体性もないので、あなたの判断ミス程度にしかなりません。

しかし、貸し手である金融機関が保証人となる人に、債務者の経営状態が著しく悪く経営破たんが近いことを知っているにもかかわらず、「この債務者は健全です」と偽って話したとします。

このケースであれば、保証人は詐欺を理由に保証契約を取り消すことができます。

金融機関のような専門業者は事前にきちんと説明することが義務づけられています。特に契約相手が素人の場合はなおさらです。

債務者の経営状態が著しく悪いことを知っていることを言わなかったというだけで、詐欺になる可能性が高いと言えます。

詐欺による契約の取り消し

債務者にだまされて保証人になった場合、保証契約を結んでいるのは契約の当事者である保証人とお金を貸した債権者です。

この場合に保証人が保証契約を取り消せるのは、債権者が主債務者の詐欺行為について知っているときに限るとされています。これは民法96条2項に定められています。

保証人がその事実を証明するのはなかなか難しいことと思います。

他の方法としては、簡単にいえば「錯誤(勘違い)を主張して契約を無効にする」という方法があります。

民法95条には下記のような表記があります。

  • 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

ここでの法律行為とは契約などの重要な部分のこと、錯誤というのは思い違いのことです。

「契約などの重要な部分について勘違いがあって、その勘違いがなければ契約はしなかった」と認められる場合はこの契約は無効になります。

ただし、注意を払えばその勘違いに気がつくような状態であれば、重大な過失があったということで、その契約は無効だと主張することはできません。

債務者の詐欺により保証人を頼まれた人がだまされて、その結果、保証契約をしたケースはよくあります。

裁判になった場合、詐欺と錯誤を同時に主張する方法もありますし、主張しやすいほうだけを選ぶ方法もあります。そのあたりのやり方は弁護士に聞くのが一番いいと思います。

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